2007年
06月
30日
(土)
20:00 |
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![]() | オール・アバウト・マイ・マザー セシリア・ロス、ペドロ・アルモドバル 他 (2006/06/23) アミューズソフトエンタテインメント この商品の詳細を見る |
交通事故で息子を亡くしたシングルマザーの女性が、その死を息子の父親に告げるためマドリードからバルセロナを訪れる。そこでさまざまな事情を抱えた女性たちとの出会い、心の交流を通して癒されていくヒューマンドラマ。
http://www.sonypictures.com/classics/allaboutmymother/←英語版サイト
独特の感性で女性を描くことには以前から定評のあったペドロ・アルモドバル監督は、今作でアカデミー外国語映画賞を受賞し、一躍世界的に注目される監督となりました。そして、この作品はそんなアルモドバル監督が、女性にささげた女性のための映画といえるでしょう。
主人公は、マドリードで看護師として働くマヌエラという女性です。彼女はシングルマザーとして慎ましくも幸せに生活していますが、突然の交通事故で最愛の一人息子を失ってしまいます。その息子の死をきっかけに、彼女は自分自身で封印していた過去と向き合う旅に出ます。
舞台はマドリードから、息子を生む前に夫と暮らした街バルセロナへと移り、彼女は息子の死を知らせるため何十年も音信不通だった夫の行方を捜し始めます。そして、そんなバルセロナでの日々のなかで、個性的でさまざまな悩みを抱えた女性たちと出会い、心を通わせていくのです。
恋人が麻薬中毒なことに悩むレズビアンの大女優ウマ、子供を身ごもってしまった修道女ロサ、豊満な胸を作って男に体を売るオカマのアグラード、そして息子を交通事故で失ったマヌエラ。
みな一人として幸せと呼べる状況にない女性ばかりですが、そんな女同士が集まって繰り広げられるおしゃべりは陽気で猥雑、とても深刻な悩みを抱え込んでいる人たちには見えません。
ですが、きっとアルモドバル監督は、そんな悩みや苦しみを抱え込みながら生きる女性にこそ魅力を感じ、そこに強い生命力や美しさを見出すことに長けているのでしょう。ふとしたことでよみがえる悲しみに耐えながらも、常に前を向き、地に足をつけて生きるマヌエラの姿をみていると、そのたくましい生き様に圧倒され、そして、その包容力の大きく深いことに驚かされます。
そして、じっとりとした悲劇として描こうと思えばいくらでも描ける題材を、あえて軽やかに描き出す演出は、どんなにつらく悲しいときでも、人間はおなかが減ったらごはんを食べるし、おかしかったら笑えるんだという、甘くて辛い人生を懸命に生きる女性たちのしたたかな強さをしっかりと感じとることができます。
セシリア・ロスやマリサ・パレデスなどのアルモドバル作品には欠かせない女優たちに加え、ペネロペ・クルスやアントニア・サン・フアンなどの新しい女優たちもみな、映画のなかでいきいきとした表情を見せてくれます。女として生まれた喜びや母になることの偉大さ、そしてなんといっても女の図太い強さを感じさせてくれる作品です。
また、この映画ではバンビのような若々しい愛らしさを振りまくペネロペ・クルスが、アルモドバル監督の最新作『ボルベール』では、どんな女性を演じているのか今から観るのが楽しみです。
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